2009年5月23日土曜日

ハイジ第33~36話感想

前回の続き。こちらは有名な幽霊騒ぎから帰郷直後のまでのハイジです。

まず演出。このあたりはもう神演出としか言いようがない。
これを見た小さい時は「やっとハイジが山に帰るんだ」と喜んだ記憶があるんだけど、今、大人になった自分の目線で見ると、幽霊騒ぎのあたりなんてもう…。
てか、一桁(本編終了時点でもハイジは十歳にすらなっていない)の女の子にこんな想いをさせるなんてひどすぎる orz
本気で泣けた。

夢遊病のところ、今の目で見ても全然色あせてない。それどころか、当時は理解できなかったり気づかなかった緻密な演出や悲惨さに胸が潰れそうだった。てかこうして書いてる今ももらい泣きしそうだ。
夢の中でアルムにいるのだけど、その山小屋の風景すら神だ。誰もいず、荒れ放題の廃屋のような家の中はハイジの心象風景そのものなんだろうけど、そのおかしさを認めず、おんじとヨーゼフを探す姿。BGMの夕焼けの歌にも虚ろなエコーがかかっている。ハイジのメンタルヘルスが最悪の状態にあるのが非常にわかりやすい。これはいくらなんでもやばいだろう、と誰の目にもわかる。
しかし、当時これを子供と見ていた大人たちはギョッとしたんじゃないだろうか?

この前後の描写も凄い。
帰郷を知らされたハイジの顔色はみるみる変わっていく。真っ白で病的そのものだった顔も、クララと分かれるころには頬の赤さを取り戻しかけているし、一話のタイムスケールのわずかな時間の間にも、まるで別人のように元気になっていく。
あの今にも死にそうにやつれていたハイジが、マイエンフェルトからこっちの元気なこと元気なこと。
よかった、よかったなぁ……涙腺はもうゆるみっぱなしである。
「ありがとうセバスチャン。でも、山が嫌になんて決してならないわ」
いやま、そりゃそうだろう。
ここまで「故郷」として山が心象風景に刷り込まれてしまった人間が、その山を嫌いになれるわけがない。たとえその一生に何があろうとも。

ちなみに余談。
子供の頃に全く気づかなかったのが、おんじの行動だ。
帰郷直後のハイジは何話かの間、言動や行動が明らかにおかしいんだけど、それを見守るおんじの姿がものすごく印象的。細かいところまで本当に気を使っている。

ここまでリアルに演出していたんだなぁ。今の目で見ても驚くばかりです。

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