2009年5月23日土曜日

ハイジ第九話『白銀のアルム』十話『おばあさんの家へ』

ずっと欲しかったのだけど、1000円以下でみつけたのでゲットする。
DVD第三巻と九巻。その中から、第九話と十話の感想。

ペーターとハイジの対比が面白い。
歩いて山小屋にいったペーターの手は氷のように冷たい。
対して、ペーターの家に遊びにいったハイジの手は暖かい。おんじが大切に送っていったからだ。
いかにハイジが可愛がられているかがよくわかるシーンだと思う。ふたりが住んでいるのは登山道の最中のようなとんでもない場所なのだから。
(おばあさんはその意味に気づかないが、これは何年も盲目で外に出てないから気づかないのだろうと思われる。
また、おじいさんやハイジは創作だが山小屋は実在する。夏はともかく冬場はとんでもない場所のようで、暖かい手のままで下山するのは非常に難しいと思われる)

ハイジはおんじの実の孫娘であり、しかも本質的にハイジの性格はおんじのそれを色濃く受け継いでいる。優しくて頑固でゴーイングマイウェイなところなんか、確かにこのじいさんの孫なんだとよくわかる。
おんじが可愛がるのも無理もないが、同時にハイジが村人と関わるのを快く思わなかったのは自分のエゴだけではあるまい。
第二話の時点で、おんじはハイジを「あの子はちゃんとわかっておる」と感心している。この時点で、おそらく村人や義理の姪とハイジが違うことに気づいていたのだろう。彼はその孫娘のユニークな特性が非常にお気に入りだったから、それを歪めるのを嫌がったのかもしれない。

そのユニークさ、そして「確かにこのふたりは祖父と孫娘なのだ」というシーンはまもなく結実する。
おんじがいつのまにか木の下にも椅子を用意していて、ハイジがひと冬せっせと餌付けした動物たちとくつろいでいたりするシーンがある。ちゃっかり便乗しているのも凄いが、動物たちを決して警戒させないあたり、なにげにこのじいさんも過去にハイジと同じことをさんざんやったんだろう。なにしろ、風や雪にまで話しかけてしまうほどに孤独な生活をずっとしていたようだから。

しかし、こんな環境にあたりまえに順応して育てば……そりゃ都会でホームシックにもなるわなぁ。
デルフリ村ですら通年ではきつかろう。

なお余談だが、アニメでは語られないその後のハイジの設定というと、あのフランクフルトのお医者様である。彼は原作ではハイジを尋ねてたびたびアルムを訪れ、おんじに、自分が死んだ後にハイジの後見人になってくれと頼まれ承諾している。そっちは読んでないのでよく知らないのだけど、最終的にアルムの方に家をもって転居したはずである。
もっとも、これらはハイジ本編からすると完全に蛇足だろう。

もともと原作のハイジはフランクフルトから帰るまでで、その後は原作が有名になってから追加された後日談(ようするに、作者のセルフ二次創作に近い。最初からあったストーリーではないようだ)であって家族の評判も悪かったそうなんだけど、この話には私も同意する。
個人的には、帰郷後のエピソード好きではない。「クララが立った!」は有名だけど、ハイジ最強の感動シーンは、幽霊騒動まわりから帰郷にかけてのラストだと思うからだ。
そこらの感想もあとで書こうと思う。

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