2009年2月4日水曜日

どっちでもないのだ

よく言われる勘違い発言というと、たとえばこんなのがある。

1. 「Windowsで統一するのがいい。うちはITの専門家がいないから」

マニュアルだろうとオートマだろうと車は車で、道路を走る事も変わらない。
専門家雇ってください。駄目なら社員の誰かを専任にあてて勉強させてください。

「ITにお金をかけたくないから」Windowsを選ぶという考えはよく聞くが、それはその会社の姿勢そのものが間違っている。
こういう会社では当然担当者などいない。いたとしても素人以下の知識しかない。
できる者がいたとしても、まず適切な手当ても払ってないし評価もしてないだろう。おそらくは新人の何も知らないぺーぺー君にいきなり管理作業が託されている。
で、当然だけど問題が起きる。

ぺーぺー君は「動けば満足」してしまう。素人だからだ。
だがセキュリティとしては「動くのは当然」で「いかに安全を確保しながら動かすか」が主題。
おそらく、ぺーぺー君の設定したネットはひどい事になっているだろう。

Windowsオンリーでも強固なネットワークは作れる。
しかしそれは、Windowsネットワークの専門家が別途必要である。
SMTPを、FTPを、ファイル共有をまともに設定しようと思えば、結局はSMTPの、FTPの、ファイル共有の知識が必要なのだから。
「クリックして動かす」だけでは安全の確保はできない。
そして、その知識の上でWindowsサーバ固有の問題点も知らなくてはならない。

だが、その重要さが素人のぺーぺー君にはわからないし、指示したメカ音痴の上司も理解できない。

2. 「Linuxいれたらコスト安い」

正しくもあるし嘘でもある。

ライセンス料という点では確かに安い。だがOS単体のライセンスの安さなど、わか日本ではほとんど意味がないだろう。保守にかかる人件費の方を考えるべきだし、前述の「Windowsの方が安い」という意見もそこから生まれている。

Linuxが本来安いといえるのは、むしろオープンソースプロダクトとの相性のよさだろう。これはWindowsにはどうしようもない。ApacheもPostgresもJavaも、UNIX式のOSととても相性がいい。Linuxは正しくはUNIXではないが、UNIX風に環境が設計されているのでUNIX式とでもいうべきものだろう。
そして、UNIXはWindowsに比べると少々とっつきが悪い。が、かわりに、(*1)Linuxのミドル級以上のユーザーは同上のWindowsユーザに比べてセキュリティへのリテラシーがかなり高い傾向もある。

だがすべてにおいて安いかというと、そうではない。
ソフトウェア面では確かにその通りなのだが、ハードウェアではこれが裏目に出る。
「Windowsでは動くけどLinuxでは動かない」デバイスの存在。これはメーカーが対応してないのだから当然そういう事もある。
まぁそういうデバイスの多くはサーバ利用など想定外の粗悪なものばかりなのだけど「信頼性など低くてもいい、性能なんか二の次、壊れたら交換すればいいからとにかく安いのがいい」というむきには明らかにマイナスだろう。

だが「壊れたら交換すればいい」という発想は、交換に生じる人件費や停止に伴う損失を計算にいれていない。
たかが数千円差で安定したNICが買えるならそれをつけるべきだろう。三年が四年になるのなら高信頼性HDDを使うべきだし、マザーボードに怪しげなものを選ぶのも避けるべきだ。
それで二万円安くなったとしても、トラブル対応で人間を使うよりはるかに安上がりだし、信頼も損なわれない。

まぁ、この手の発想をする組織は確かにLinux、いやUNIX風OSのすべてを使うべきではない。なぜなら、フリーOSの多くは「堅いハードウェア」を是とするものが多いからだ。
怪しいものをざくざく使いたいなら、そのメーカーが対応表明している環境で、そのメーカーのドライバーを組み込んで使う事をおすすめする。
つまり「安物の信頼性のないハードウェア」にはWindowsのほうがいい。Linux等には「ちょっと古くて高いけど実績のあるハードウェア」がいいのだ。
チープにしたいからLinuxという考えはやめるべきである。

(*1: 絶対ではない。特に初心者のLinux屋は意外なほどにリテラシーが低いことがある。これはOSの堅牢さを過信しているためと思われる)

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