2009年9月22日火曜日

カブ旅の話

事あるごとに触れるのでウチのページの常連の方ならたぶんご存知と思うが、私はカブ90での日本一周経験がある。

せっかくBlogにトリップカテゴリをつけたので、カブ旅のよさと問題点についてまとめておこうと思う。
なお、データは90年式のカブ90DX、90年代はじめの事だと思ってください。といっても細かい技術的な話はしないので、FIのカブ110とか持ち出さない限りはだいたい通じるでしょう。
よく語られるのは以下の三点でしょう。なので、私もここだけ書いておきます。

Q1: カブで日本一周なんてできるのか。

まったく問題ありません。90どころか50でもOKです。
頑丈ですので、タイヤの減りとオイル・チェーンにだけ気をつけてあげてください。
スクーターでやるよりもずっと簡単ですし、いろいろとメリットもあります。

Q2: カブでやるメリットなんてあるのか。

基本的に「やりたいからやった」だけなのでメリット云々は意味がないですが……客観的メリットもたくさんありました。

第一に、他人への印象がまったく違います。バイクときたら目をとがらせるおばちゃんたちですら、カブにはまったく悪意を持ちません。警察もしかり。警官が「おまわりさん」になる、と言えばわかりますか。正直このメリットは計りしれず、長い旅の最中どれだけ助かったか知れません。

第二に、日本中どこだろうとカブはあり、部品があります。島中舗装路が全くないような土地ですらタイヤとチューブくらいはあったりします。足回りくらいなら自転車屋さんでも直してくれる事があります。

第三に、あほみたいに燃費がいいのです。私の旅の燃費は平均68km/lという素敵すぎるものでした。普通はこんな出ないそうですが、それでも淡々と走るタイプの長距離屋で、ちゃんと整備された90なら60km/l以上はいけるもののようです。

第四に、楽ちんです。
90はエンジンパワーに足回りが追いついてないので飛ばそうとすると恐い思いをしますが、そもそも荷物満載のカブで飛ばすほうが間違ってます。
で、のんびり走ると本当に楽ちんです。ちんたら手抜きで走るのにとても都合よくできているのです。
伊達に長く作られちゃいないって事でしょう。

第五に、カブは125cc未満なので、125cc未満の他のバイクと同じメリットがあります。すなわち、自動車専用道路には入れないのですが、有料道路などで「自動二輪車220円」のところを「20円」で入れたりするのです。車がお札を出している横で20円払う気分は、ちょっとチープさと微妙に歪んだ優越感のミックスした独特のものです。

こんなところです。

Q3: 注意すべき事は何かあるか。

第一に、急ぐな、です。

サスが基本的にプアです。特に荷物満載すると完全にサス負けして、北国のべろべろのアスファルトでは法定速度しか事実上出せない事もざらです。
しかし、そこでサスをつけかえて強化してはダメです。理由は簡単で、今度はフレームが負けるからです。
強度とのいたちごっこになれば、負荷の押し付けあいになります。ならばむしろ安易な強化をさけて無理なく使ったほうがいいのです。
これは私の数少ない旅の経験からの教訓です。
素人がいじったところは強化だろうとなんだろうと、必ず不具合の元になります。
これは超ロングの経験を持たないカスタム屋さんも同じです。
日本一周なんて用途は「そもそも一般的な使い方ではない」ことを忘れないで。

閑話休題。

カブ旅は積載量や宿泊予定地にもよるけど、ロングなら一日350kmは越えないほうがいい。それはカブ本来の気軽さをスポイルしてしまうからです。
できれば300km以下にする。時間が余るなら、行き先で荷物を降ろし、楽しめる時間を設けてみたり、寄り道を増やしましょう。カブにはそれが実に容易ですが、逆に快適な大型バイクではそれが面倒なのです。

第二に、地元の人と会話を試みる事です。

普通のバイクなら警戒されますが、カブはそのハードルが相当に低いのです。この偉大なスケールメリットを生かさない手はなくて、それこそカブならではの旅も可能です。
ちなみに私は、ワイシャツとスラックス、革靴にネクタイを持っていました。もっとも普段は使いませんでしたが。ネタ用ですね XD

Q4: 時間や予算はどれだけかかるのか。

かけた時間と経路、方法によるので一般的な答えが難しいです。
私は一年半もかけてますし、南の島で冬越ししたり礼文にはまったりしてます。普通に走ればそんなにはかからないのですが、「縦断」でなく「一周」したいのなら、月単位の時間が少なくともかかる事は間違いありません。
出発前には三カ月で計算していましたが、私は全然ダメでしたね XD
だいたい、気分と天気で変更ばかりになるのは目に見えてるから、予定どおりには通常進みません
(予定通りにきっちり終わらせちゃう人もいるかもしれませんが、それはむしろ例外だと思います。大抵の人はハレとケが反転を起こし、グダグダになります)

途中で予算が危なくなったのですが、北海道で季節労働して稼ぎ、保たせました。
どんな不景気でもこの手の仕事はあります。
逆にいうと、キャンプオンリーで突っ走るなら、とりあえず125ccスクーターが一台買えるくらい持って走り、北海道か沖縄に出てから路銀稼ぎをするという手もあります。
だけど、労働は要注意。無一文の北海道は広いですし、最悪、そのままその地域に埋もれてしまう人も毎年いますので。

月並みですみませんが、こんなところです。

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