2010年7月4日日曜日

夜明けが見えそうになっているかもしれない。

ファルセットなどを使って高音域を伸ばし安定化するトレーニングをずっと続けている。なかなか時間がとれないのだが、しぶとく続けている。
実は今日唐突に、よくいわれる「しんのすけボイス」とか「ミッ◯ーボイス」の意味がわかった。へぇぇ、と思う次第である。

ところでこの手のトレーニングというと、いわゆる女声を目指す人も近い位置にいる。
といっても高音だから女声というわけではないし、もちろん裏声イコール女声というわけでもない。そもそも裏声は女性でも出せるもので、声帯や喉の防衛機構が働いて声帯に負荷をかけずに発声しているにすぎない。また、女声が高音で男声が低音というのも(ある意味正しいが)声帯にとっては大嘘である。

もう少し簡単にいこうか。
では女声っていうのはそもそも何か。(色々ある学説やら俗説やらざっくり無視して)言ってしまえば簡単である。つまり『男声の響きを含まない声』これが女声なのである。
ところで、いわゆる裏声がカマっぽい理由は二つある。ひとつは芯のない声になりがちのうえ、その迫力のない声に男性成分が未だ少し含まれているせいである。

ボイトレの本にもあるが「私が実際に人前でファルセットで挨拶したり歌って見せたりすると大抵の方は引くか笑います。でもそのくらいでいいのです、楽しくやりましょう」と実に率直(^^; そう、私が必死で鍛えているファルセットとはそういうもので、だからこそ常にひとりでやっているのである。まぁ近くに同輩がいないせいもあるが。

だがファルセットの拡充は現代的歌唱法でも欠かせない。特に多彩な音質や広い音域を求めたり、長丁場でも安定した喉を求めるならば。
裏声の男声成分の話に戻るが、裏声におけるそれは地声よりは圧倒的に少ない。よってこの裏声をベースに、もう少し声をいじるとさらに男声成分を減らす事ができる。これがいわゆるメラニー法の原理のひとつ。

このメラニー法の解説をみると、以下の方法論が見つかる。

1. 裏声で可能な限り高い声を出してみる。(高い声→振動が細かい→男声成分が非常に少なくなる)
2. その発声方法を保ったままどんどん低くしていく。途中で裏返ったりしたらやり直し。
3. ひたすら繰り返す。

さらに以下も。

4. 裏声状態で声を下げていくのにある程度なれたら、非常に極端に下げてみる。「みさえ〜」ってあの声みたいなヘンテコな声になると思われる。
5. その声から工夫してエグみを取っ払うとアラ不思議、男っぽさが極端に少ない声が出現する。

これを見た私は思わず唸った。なぜかというと、私がやってる高音用の鍛錬内容とあまり変わらない。特にこの「低くしていく」のは私のボイトレでも中心に置いている事だ。

もうちょっと解説しよう。

少し裏声を鍛錬するとすぐに気づくのだが、高音が出しやすくて低音がつらい。声が出ないし油断すると簡単に表に裏返ってしまうのだ。低音域の裏声というのはとても扱いにくく、しかし地声やミドルとの接合には低音が欠かせないわけで、当然私はこれを練習している。

しかも厄介な事に、(※)通常の女性ボーカル曲は男性が裏声で歌うには低すぎるケースが多々ある。よくネットでいわゆる両声類ものの歌で「私より高い…」と女性がorzしているのを見かけるが、そうではないのである。むしろこうした男性の反転ボイスの場合、低めの女声の方が難易度が高いのだ。これは自分がやってみてよくわかる。私の場合は未だ安定化優先で女声みたいな変な小技に手を出すレベルではないが、それでも現時点で「一番効果のある練習は低音域である」と経験的に知っているくらいだ。

ふうむ。とりあえず進み方は間違ってないみたいだな……。

他にもいくつかの方法論があったが、そっちもやはり似ている。んー、まぁ裏声というと日本では奇異だが(元々西洋音楽でカウンターテナーが始まったのは教会の聖歌隊に女性を使えなかったからだ。よって日本で馴染みがないのは当たり前である)、ロック系のボーカルは普通に扱えるはずだ。だから歌い手として裏声を鍛える事自体は全然おかしな事ではない。

まぁ、とはいえ次第に形は見えてきた。ゴールなんてものは存在しないが、五里霧中という状態から脱却するめどは立ちそうだぞ。





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(※「男性には低音の方が難しい」:古いたとえですまないが、シュガー『ウェディングベル』の「くたばっちまえ♪」というアレは一見ものすごく難しそうだが男性がファルセットで歌う場合そう難しくない。特に元の音域が男性として少し高めの人なら、ファルセット初心者でも歌えるかもしれないほどだ。で、むしろ中島みゆき、美空ひばりといった低めの歌手の声の方がずっと難しい。油断すると裏返ったり全然大きな声にならなかったり、さんざんである)

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