この歌は強烈な心象風景を持っている。
夕焼けに染まった田舎の駅のホームで二人の女の子が座っている。おそらくこの二人は仲良しなのだけど、同じ男性を好きになってしまった。で、お互いにその事を強烈に胸に秘めたまま、ひとつしかないリンゴをかわりばんこに齧っている。
時間だけがただ過ぎていく。
一時間に一度しかこない電車が何度もやってきては、誰も降りる人もなく去っていく。
ホームにいるのは二人だけ。
お互いに声をかけあぐねて、それは風にとけていく。
結論なんか出さないで、このまま仲良しでいられたらいいのに。
だけど、リンゴははんぶんこできても心ははんぶんこする事ができない──。
こんな内容の歌詞が、夕焼けの景色を思わせるファンタジックな演奏とメロディラインに乗って切々と流れる。そんな歌である。
歌詞はこの通り重いのだが、谷山浩子だけあって曲はとても綺麗でもある。
(ていうか、彼女は音楽こそ綺麗だったり可愛かったりするが、歌詞は中島みゆき真っ青の激重なのが時々ありますが)
でも、某ネットの感想を見ると「かわいい曲ですねー」という感想「しかない」のでさすがにびっくりした。
この歌を「可愛い」と感じるというのは……よほど人生経験が豊富でこの程度は甘酸っぱい年頃の思い出としか見えないのか。
それとも、曲の上澄みだけ聞き流して喜んでるだけなのか。
ちょっと複雑なひとときだったのでした。
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