過ぎてから非難するのは誰にでもできる。だから彼らの行動の是非を問えるのは、この先同じことを繰り返さないために情報を集めている研究者、それに何よりも当人たちだけであろう。
ただ、読んでいてひとつだけ思った事があった。……それは「ビビって即下山するような奴がいなかった事」だろうか。
何を言いたいかと言えば「登山や縦走の途中でヒグマに出くわしたら普通ビビるだろ」ということだ。
もっとも、いかにヒグマとて遙か遠目に見るだけなら問題ないだろう。「ここはあんな巨大な熊もいる土地なんだ」と気持ちを引き締め、食料などをうかつに表に出さぬよう注意するだけだ……いや、私ならそれだけでも「もうヤダ帰ろう orz」と思うだろうが。
だけど、さすがにテントサイトに現れて食料食われるなんて事態になれば、いかに蛮勇溢るゝワンゲル青年たちでもさすがにビビったと思うのだ。いや本当に。
実際、よくこの時点で「速攻で下山」しようとしなかったものだとむしろ感心する。残念ながら「生き延びようと思えばある程度チキンであれ」がお山の鉄則だと思うのでその意味では感心できるものではない(そして実際そのとおりになってしまった)のだけど、しかしそれでも「勇気あんなぁ」となかば呆れつつ資料を読んだのは正直なところかもしれない。
羆が怖くて山に入れるか。それはそのとおりかもしれない。
だけど、さすがにテント襲撃されたら逃げようよ……ねえ(泣)
1990年代のはじめ、私は旅の途中でワンゲルの人たちにもたくさん会ったと思うし、山屋さんの彼らに対する印象などもよく聞いたと思う。山屋さんたち曰く、団体できて、無茶なスケジュールを強引にこなす事を美徳とし、ドカドカと山を踏み荒らして問題ばかり起こす困った人たち──。「ひとりひとりは悪い人じゃないんだよ」と控えめな言葉のあとに、そういう事をよく聞いたものだ。
うむ。
あの頃の山屋さんたちの言葉や私自身の印象などを考えると……少なくとも(*)1990年代の時点では、この1970年当時のワンゲルと基本的に同じことをやっていたんだなぁと思う。まぁさすがに羆への警戒はしていたんじゃないかと思うが。
(*: 大学によってはテント以外、たぶん道具も同じでした。しかしホエーブスはともかくキスリングは、もっといい素材のものがあるだろうに)
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