2010年4月26日月曜日

『アバター』を見て

いろんな人が感想を述べていると思うので、そういう耳タコな話は置いといて小さなお気に入りの点について話したい。

やはり、科学者のグレース(シガニー・ウィーバー)と主人公の立場がおもしろい。
グレースからすれば、主人公は周囲の力関係で「適当に飼っておく」ような存在でしかなかった。主人公は本来くるはずだった科学者と双子の兄弟であり、DNAが一致するという点のみで拾われたもの。そもそも心の底から筋肉バカでそれが気に入っている骨の髄からの海兵隊員である。根っからの文民である科学者の息が合うわけもなかった。

ただ二人には唯一最大の接点があった。つまり、現地の自然や部族をとても愛したという事だ。

グレースは科学者として常に第三者の視点であったが、主人公は完全な肉体派。つまりグレースとは真逆の世界観から彼らの中に単身入り込んだわけだが、結果として同じ結論に達した。グレースは観察と研究の果てにこの世界の素晴らしさを知っており、主人公は元海兵隊員(つまりバリバリの肉体派であり彼らの戦士に近い)として彼らの世界に感銘し、自然の美しさと厳しさに驚嘆した。その邦画は序盤から見えていたが両者の和解は非常に早かった。そしてグレースは最終的に、主人公が自分と同じ結論に真逆の方向から到達しているのを知る。

「アバター」は物語自体も美しいものだったが、グレースと主人公の関係がその全てを象徴していると言える。
異分子が別の世界に入り込むという構図は本作の随所に知恵の輪のように組み込まれている統一的テーマだが、見る機会のある方、もしくは既に見ている方。ぜひ彼らの関係の変化にも注目して見てみてほしい。

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