2010年3月31日水曜日

望美ルート考察

 全クリアで判明した知識をもって、望美ルートをいま一度考察してみる。

以下、超ネタバレ。

  




















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 まず、望美のあの適当なプロフ設定と特待生の手続きをしたのは、もちろんかつての咲自身であろう。望美だけ遅れてくるように設定したのも、他の家族がデータだけで登場しないのも全て調律者の介入を見越したものであり、「どうせ上書きされちまうんだから適当にやっちまえ」か、あるいは軽いお茶目であったのだろうと思われる。
 そして咲の狙い通りに調律者はやってきた。
 そして同時にそれは、世界そのものの客人(まろうど)であるあんこ先生にとっては計算外、であった。調停者にとってあんこ先生が異物であるように。

 望美には三つの人格が現れれる。まず序盤から望美ルート前半までのもので、これが上の「元の人格」もしくはそれに酷似したもの。次に調律者(金色の瞳に変わる)で、最後が一度壊れて記憶も飛んでからリスタートして出てきた第二の望美である。
 このリスタートが起きてしまって理由はもちろん、調律者が入り込んだ事により引きずられた事、そして、イレギュラーであるあんこ先生を、望美の中にいる調律者が求め、それを咲が否定してしまったからだ。咲の望むようにありたいと望美自身がのぞみ、そして自力ではそこに届かなかったからこそ、そうなってしまったわけだ。
 これは以前書いた望美シナリオの感想の時同様、咲のせいで間違いないのだが、これは無理もないと今にしてみれば思える。そもそもこれは咲にとっても完全な計算外。あんこ先生というイレギュラーが入り込まなければ、そして、あんこ先生が「向こうの世界」からあのセキララという花を持ち込まなければ、歪みも大きくる事はなかったし、調停者の介入も大した問題にならなかったはずであり、だから、異常事態の元凶であり全てを知っているあんこ先生にしか直接のフォローも助言もできなかった。
 だが最終的には、命がけで元の世界から咲を追ってきたあんこ先生の介入が正しかった。かつての咲にとっては取るに足りないはずだったイレギュラー。本人は戯れのつもりで、しかし内心では好ましく思っていた、おそらく凡百の徒でしかなかったはずの存在。
 しかしその「本当なら後先考えない愚策で咲の計画を全て台無しにしたはずの彼女の介入」が結局、咲に現実を受け入れる最終決断をさせる事になったわけだが。

 望美は無垢というよりそもそも何も持っていない。これはおそらく介入され破壊される可能性も考えたからだろうが、そもそも基本コンセプトがそうらしいのが調律者と咲の会話からも伺える。ただ望美の傾向は他の全ヒロインどころか将太ほかの全ての人物が多かれ少なかれ持っている。
「私は咲に望まれて生まれてきた」
 それは望美に限らず全員、ようするにあの将太にすらも共通している事。
 ただし他の人物はたくさんの「人間」としての基本設定を持っている。望美はそのへんをほとんど持っていない。まるで、高度な情報を蓄えているが人間としての経験値を全く持たない人工知能のように。
 (実際この人工知能チックな比喩は正しいと思われる。望美は「世界にアクセスして有利な結果なり情報を引き出している」と思われる。特待生の設定も食事も、周囲の反応も全てである。望美の自由にならないのはイレギュラーであるあんこ先生、それに咲のみである事、そして『望美ルートの自分』を他のルートから呼び出してしまうという究極のウルトラCまで披露するが、これはアクセス先が「世界」であるからこそ可能なのだと思われる)
 その「何もない」無垢さゆえに望美にはわかる。本来この世界の誰も感じないはずの、コンダクターとしての咲を感じる事ができる。
 ……てーか、存在理由(レーゾンデートル)という懐かしい言葉をまさかエロゲで見る事になるとは思わなかった。

 次に、望美ルートにおける真奈の件。
 望美、あんこ先生、そして真奈の三人には共通項がある。つまり決して他者には理解されない、あるいは理解を望まない一面を持っているという事。おまけに真奈はミュージシャンや創造者特有の感性がある。
 それゆえに、望美ルートで真奈は非常に活躍する。他の人物が理解しえない部分を直感で理解するからこそ、望美の異変や危機を感知する事ができた。
 漠然とプレイしていたが、改めて見るとこれは確かに真奈にしかできないんだとわかる。他の人物では望美のサポートは無理。他のルートでも真奈はまるで便利屋のようにあちこちで活躍させられているが、望美ルートでの彼女は便利屋ではない。共通項をもつ同類であり、人格もつ存在として活躍する。
 
 うむ、真奈ルートももう一度やりたくなった ^^

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