2009年3月30日月曜日

はるな愛をめぐる夫婦の性認識の相違について

うちでは珍しく時事の話題。
(まぁ、うちの創作内容には少し関連しているが)

陣内智則と離婚した女優、藤原紀香と親交があるタレントに、はるな愛がいる。
なんでもない事なのだけど、彼女を巡るエピソードでちょっと興味深い話がある。
藤原紀香とはるな愛が一緒にお風呂した時、陣内は内心複雑だったと明かしているものだ。

ご存じとは思うが、はるな愛はTS、つまり元男性である。また「結婚するまでは男性名でいるのが親孝行」として戸籍上の名前は男性のままだという。もっとも藤原紀香が一緒にお風呂したという事は、少なくとも彼女ははるな愛を女性として認識しているという事だろう。
陣内もある点までは同じだろう。しかし「お風呂」となると止めないまでも複雑だったということは、はるな愛に対する陣内の性認識は、紀香のそれとは少し違うという事になる。

この種のセックス・マイノリティーに無頓着な方だと「男じゃん!だめだろ紀香」と言いかねないところだが、性自認とか認識とはそういうものではない。はるな愛はどう見ても性自認は女性だろうし、既に性別適合手術も受けているようだ。外見からの推測にすぎないが既に男性ホルモン値は成人女性のそれと同レベルしかあるまい。つまり肉体的にも精神的にも男ではない。ちんちんもついてない。

この場合の認識や扱いとはとても微妙になる。
たとえば「基本的に女性と認識しているし雑魚寝も平気だがお風呂は抵抗がある」とか「なんだろうと平気だが恋愛対象にはならないと思う」等である。性の認識とはこういう風に微妙なもので「男!女!」と、すぱーんと区別できるものではない。
たとえば私が陣内の立場だったとしようか。
たぶんはるな愛をちょっとうらやましいとは思うかもしれないが、複雑な心境にはならないように思う。個人的にはるな愛のカテゴリ分類が女性だからだ。
しかし女として性欲の対象になるかというと、これはたぶんならないだろう。
このように、性の認識とは非常にデリケートで微妙なのだ。

まぁ、これでも「だって男じゃん」というのなら、いったいどのへんまでが男でどこから女なのかと問いたい。
医学的にどうというのなら、遺伝子XXの完全な女性であってもその肉体には男性ホルモンが流れているという事を知らないのだろう。肉体的には、男と女というのは単に形成上の問題にすぎない。遺伝子というのは単に設計図にすぎないし、さらにその遺伝子ですら、男性要素や女性要素という感覚はあっても男と女の明確な区別などない。とどめに、(*)遺伝子がXYつまり男性DNAで普通に女性の人だって落語のネタになるくらい普通にいるわけで、男と女の区別なんてものは、むしろ生物学的の方が混沌としていて意味をもたない。
そこいらへんを全く意識せず、まるで魂から異なるかのように考えるのは非科学的な妄想かファンタジーでしかないように思う。そういう意味では、はるな愛は立派に女性だろう。
ようするに、男か女かは本人の、それに周囲の認識の問題であると言える。

もっとも、お風呂の話が事実としても紀香はそこまで認識してはいまい。
夫婦間のことなので当時の心情がわからず推測にすぎないが、単に「別途入るの面倒じゃん。女同士いっしょに入ろう」というアバウトな感覚で入ったにすぎないように思える。
だが、陣内にはそういう感覚がないか、理解したつもりでも認識は違っていたのだろう。つまり「ちんこついてない男」とどこかで認識していたからこそ、ふたりのお風呂を複雑に感じたのだと思われる。

これをして、陣内の了見が狭すぎると思うのか紀香が問題と思うのかは私の言うべきところではない。
だけど性自認や認識を考えるなら、男女差という問題を差し置いてもふたりのはるな愛に対する認識に大きな温度差があるのは明白だろう。
もちろん「夫婦ったって人間同士だから違うのはあたりまえ」である。ただ性の認識とは肉体レベルに近いだけに単純に計れない部分がある。だから、このへんの認識の差異を雑談レベルでもいいからオープンに話し合える環境がなかったとしたら、それは亀裂の原因になりえたんではないかと推測する。
たとえそれが
「こういうのは偏見とわかってんねんけどな。ちょっと複雑やった」
「あー、ひどいそれ」「あっははは」
みたいなレベルでも、である。

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(*: 子供は女性の胎内で勝手に成長するのではなく、その設計図通りに胎児の肉体を組み立てるのは母胎側の仕事です。胎芽の状態では遺伝子以外に雌雄の別はなく、そのまま組み立てるとXX、XYの別に関係なく女児になります。ただXYの場合、ある時期に母胎の判断で男性ホルモンを胎児に浴びせ、それにより男性型への変異が始まるのです。
 この組み立て工程が狂うことにより、遺伝子と肉体にずれが生じます。たとえば母胎に異常があって男性ホルモンが照射されないとXYであっても女児に生まれますし、妊娠時の苦痛を和らげる薬などが悪さをして、XXなのに男性化させてしまう事もあります)

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